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薬物療法

はじめに

お子さんにお薬を使うことは、多くの保護者の方にとって大きな決断です。

  •  「本当にこの薬でいいのかな」
  • 「副作用が出たらどうしよう」

当院では、

  • 必要最小限・安全第一
  • 効果とリスクをわかりやすく説明
  • 保護者の方と一緒に決めていく

ことを大切にしています。

ここでは、よく使うお薬の種類と、代表的な副作用・ご家庭でできる対応・受診の目安を、できるだけやさしい言葉でまとめました。

発達特性とお薬について

ADHD(注意欠如・多動症)のお薬

代表薬剤名

  • メチルフェニデート(コンサータ® など)
  • リスデキサンフェタミン(ビバンス®)
  • アトモキセチン(ストラテラ®)
  • グアンファシン(インチュニブ®)
よくある副作用
  • 食欲が落ちる
  • 寝つきが悪くなる・眠りが浅くなる
  • 頭痛・腹痛
  • ぼんやりした感じ、だるさ(非刺激薬でときどき)
  • 少しイライラしやすくなる
ご家庭でできる対応
  • 食べられる時間帯(朝食前後・夕方など)に、好きなものを優先的にしっかり食べる
  • 寝る前のスマホ・タブレット・ゲームを控えめにする
  • こまめな水分補給を意識する
  • 副作用が強いと感じる日は、自己判断で増やさず・減らさず、まずはクリニックにご相談ください(医師の指示で「その日はお休み」などを検討することもあります)。
受診・相談の目安

次のようなときは、早めの相談がおすすめです。

  • 食事がほとんどとれない状態が数日〜1週間以上続く
  • 頭痛・腹痛が毎日のように強く出る
  • イライラや情緒不安定が、薬を始める前より明らかに悪くなった
  • 手のふるえ、動悸、強い不眠などがある
→ 多くの場合、量や時間帯の調整で良くなることが多いので、遠慮なくご相談ください。

ASD(自閉スペクトラム症)で使うお薬

※ASDそのものを治すお薬はありませんが、「困りごと」に合わせて使うことがあります。

よく使う薬剤の例

  • 気持ちの波を整えるお薬
    抗精神病薬:リスペリドン(リスパダール®)、アリピプラゾール(エビリファイ®) など
  • 不安を和らげるお薬
    抗うつ薬:セルトラリン、フルボキサミン など
  • 衝動性を落ち着かせるお薬
    グアンファシン(インチュニブ®)など
よくある副作用
  • 眠気
  • 食欲が増えやすい・体重が増えやすい
  • だるさ・ぼんやり感
  • 抗うつ薬の飲み始めに、一時的なイライラの悪化
ご家庭でできる対応
  • 食事と軽い運動のリズムを整える
  • 新しいお薬を始めた最初の1〜2週間は、気になる変化をメモしておく
  • 「元気がなくなっていないか」「感情の波がどう変わったか」を家族で見守る
受診・相談の目安
  • 日中ほとんど動けないほどの強い眠気が続く
  • 食欲が極端に増え、急な体重増加がみられる
  • 感情のコントロールが薬の前より明らかに悪くなった
  • ふらつき、手足のふるえ、筋肉のこわばりなどがある

→ このような場合は、できるだけ早く受診・電話相談をしてください。

気になる症状が出現した場合の対処方法

お子さんがお薬を飲み始めると、体調や行動に少し変化がみられることがあります。多くの場合は 一時的で、家庭で様子をみていただいて問題ない範囲 ですが、中には受診が必要なケースもあります。ここでは、症状の強さに応じた対処方法をまとめました。保護者の方が落ち着いて判断できるよう、参考にしてください。

1.家で様子をみてよい症状

以下のような症状は、薬に体が慣れる過程でよくみられる“軽い副作用” の場合が多いです。数日から2週間程度で少しずつ自然に落ち着いていく場合がほとんどです。まずはご家庭でゆっくり様子をみてください。

  • 少しの頭痛・腹痛・吐き気
    (食事や水分がとれる程度で、表情に大きな変化がない)
  • 軽い食欲低下
    (まったく食べられないわけではなく、好きなものなら少量食べられる)
  • 少しの眠気/寝つきの悪さ
    (生活が大きく妨げられない範囲)
  • 軽いイライラ・落ち着きのなさ
    (普段の生活や学校に大きな支障がない)
  • 服薬後の一時的なだるさ・疲れやすさ
  • 軽いめまい(立ちくらみ程度)

2.家庭でできる実際的な対応

お薬を飲み始めてから気になる症状がみられた場合は、まずは下記の対応を参考にしながら、お子さんの様子を見守ってみてください。

  • 水分をこまめにとる
    脱水は頭痛・だるさ・めまいを悪化させます。
  • 好きな軽めの食事を少しずつ
    無理して食べる必要はありません。
  • いつもより早めの就寝
    寝る前のスマホ・ゲームを控えると眠りにつきやすくなります。
  • 服薬の時間を調整する(医師から指示がある場合)
    刺激がある薬は「朝」、眠気が出る薬は「夜」など調整で楽になることがあります。
  • 1日の様子をメモ
    症状の出た時間・強さ・きっかけなどを記録しておくと次回診察で役立ちます。

3.当院への相談が必要な症状

以下のような症状が出た場合は、翌診療日で構いませんので当院へ電話・メール・マイページからのメッセージ送信にてご連絡ください。ご連絡をいただいた後、受診可能な時間帯をご案内し、できるだけ早く診療いたします。なお、緊急性のあるご相談のため、ご希望の時間帯に沿えない場合がございますことを、あらかじめご了承ください。

  • 頭痛・腹痛・吐き気・食欲の低下・倦怠感・傾眠などが続き、普段通りの生活が難しくなってしまっている
  • 眠れない日が複数続き、翌日の学校生活や日中の活動に影響が出てきている
  • 強いイライラ・不安が続く、あるいは強まり、普段できていたことが難しくなってきている

4.救急受診が必要な症状

以下の症状は 薬の副作用や体調悪化のサイン の可能性があります。速やかに救急医療機関へご相談ください。 緊急性の高い身体症状がみられる場合は、当院では診療に対応することができません。恐れ入りますが、下記でご案内している救急医療機関へご連絡ください。

  • ぐったりしている/反応が弱い
  • 食事・水分がほとんどとれない
  • 嘔吐が止まらない・ふらつきがひどい
  • 呼吸が苦しそう・息が荒い
  • けいれんを起こした
  • 息切れ・胸の痛みがある
  • 顔色が青白い、冷汗が出ている
  • 著しい興奮・自傷他害の恐れがある
  • 「死にたい」「消えたい」などの発言が強く繰り返したり、実行しようとする

※ 緊急性が高い場合は迷わず119番へご連絡ください。

5.緊急時(夜間・休日含む)の相談先

平日日中

救急安心センターさっぽろ(#7119)

夜間・休日

小児救急電話相談(北海道)

  • #8000(北海道内共通。夜間中心の窓口)

札幌市夜間・休日急病センター

6.注意書き

このページの内容は、一般的な目安をまとめたものです。お子さんの体質や普段の様子によって、必要な対応が異なる場合があります。ご不安な点がありましたら、当院までご相談ください。

子どもの精神科でよく使うお薬(カテゴリ別)

抗精神病薬(リスペリドン、アリピプラゾール など)

主な目的
  • 強いイライラ・興奮
  • 衝動的な行動
  • 幻覚・妄想などの症状
  • ASDに伴う行動のコントロール
よくある副作用
  • 眠気
  • 食欲増加・体重増加
  • 便秘
  • ホルモンの値の変化(思春期の乳房の張りや分泌など)
  • 手の震え・筋肉のこわばり(多くはまれですが、大事なサインです)
ご家庭での対応
  • 体重や食事量を、少し気をつけて見守る
  • 水分・食物繊維・軽い運動で便秘対策をする
  • 飲み忘れや自己判断での急な中断は避け、調整は必ず医師と相談する
受診・相談の目安
  • 手足の震え、筋肉のこわばり
  • ふらつき、極端な眠気
  • 1か月で急に体重が増える
  • 乳房の張りや分泌など、気になる変化がある

抗うつ薬(セルトラリン、フルボキサミン、エスシタロプラム など)

主な目的
  • 不安
  • パニック
  • 気分の落ち込み
  • 強いこだわりや強迫症状
よくある副作用
  • 飲み始めの軽いイライラ・そわそわ感
  • 吐き気・胃のムカムカ
  • 頭痛
  • 眠気または寝つきの悪さ
ご家庭でできる対応
  • 食後に服用すると、胃の不快感が軽くなることがあります。
  • 最初の1〜2週間は、様子を見る期間と考え、急な増量は避ける。
  • 眠気や不眠が強いときは、次回受診時に「飲む時間を変えられないか」相談してください。
受診・相談の目安
  • イライラや落ち込みが、薬を始めてから急にひどくなった
  • 吐き気や頭痛がつらく、日常生活が難しい
  • パニック発作が明らかに増えた

→ 多くは、量や飲み方の調整で改善が期待できます。

抗不安薬(主に漢方・依存性の低い薬)

※ 依存性の高いお薬(いわゆる「安定剤」の一部)は、原則として使用しません。

主な目的
  • 強い緊張
  • パニック発作
  • ストレスによる体の症状(腹痛・頭痛など)
よくある副作用
  • 眠気
  • ぼんやりした感じ
  • 口のかわき
受診・相談の目安
  • 眠気が強すぎて、日中の生活に支障が出ている
  • 飲んでも効果がほとんど感じられない、または逆に不安が悪化している

睡眠薬(メラトニン類似薬:ロゼレム®、ベルソムラ® など)

主な目的
  • 寝つきにくさ
  • 生活リズムの乱れ
よくある副作用
  • 朝の眠気・だるさ
  • 生あくびが増える
  • 夢が増えたように感じることがある
ご家庭でできる対応
  • 寝る前のスマホ・ゲーム・強い光を控える
  • 「寝る前のいつもの流れ」(ルーティン)を決める
  • 朝、カーテンを開けて光を浴びる習慣をつける
受診・相談の目安
  • 朝まったく起きられない状態が続く
  • かえって睡眠リズムが乱れたと感じる
  • 数週間使っても、まったく効果が感じられない

お薬について大切にしていること

  • 薬は「治療のすべて」ではなく、子どもが生きやすくなるためのサポートのひとつだと考えています。
  • いつでも「薬を減らす」「薬を使わない」選択肢も一緒に検討します。
  • 最小限の量で最大の助けになるように、こまめに振り返りながら調整します。
  • 「これって副作用かな?」と少しでも気になったときは、どんな小さなことでも遠慮なくご相談ください。
  • ご家庭・学校生活・お子さんの成長のステージに合わせて、お薬はいつでも調整・中止が可能です。

お薬のことが不安なときは、「こんなこと聞いてもいいのかな」と思わず、どうぞ気軽に質問してください。 にじいろこどもクリニックは、お子さんとご家族が安心して治療を続けていけるよう、一緒に考え、一緒に選んでいきます。

お薬に関するよくあるご質問

ADHDのお薬(コンサータ/ビバンセ/ストラテラ/インチュニブ)

食欲が落ちています。どの程度なら様子を見ても大丈夫ですか?

ADHDのお薬では、飲み始めに食欲が落ちることはよくあります。軽い食欲低下で、夕食や間食が普通に摂れているなら様子見で大丈夫です。ただし「1日ほとんど食べられない」「体重が目に見えて減ってきた」場合は、調整が必要ですので早めにご相談ください。

寝つきが悪くなりました。薬のせいでしょうか?

刺激薬(コンサータ・ビバンセ)では特に、入眠しにくさが出ることがあります。寝る前の動画・ゲームを控えるだけで改善する子も多いです。しかし、連日強い不眠が続く場合は薬の量や飲む時間を調整することで改善できますので、受診をおすすめします。

頭痛や腹痛が続きます。薬が合っていないのでしょうか?

飲み始めの数日間はよく見られる変化ですが、「毎日つらい」「学校に行けないほど痛む」場合は薬を見直すサインです。我慢せずにご相談ください。

ASDの困りごとに使う薬(リスパダール/エビリファイ/セルトラリン/フルボキサミン/インチュニブ)

薬を始めてから眠気が強くなりました。このまま続けていいですか?

眠気はASDでよく使う薬で最も多い副作用です。軽い眠気で日中の活動が問題なければ経過観察で構いません。ただし「授業中ほぼ起きていられない」「会話の反応が明らかに遅い」などがあれば調整が必要です。

食欲が増えてきて体重も増えてきました。問題がありますか?

抗精神病薬では食欲増加が起こりやすく、ある程度は想定内です。ただ「1ヶ月で急激に体重が増える」「食欲が止まらない」といった場合は、薬の量・種類の調整をしたほうが安心です。

イライラが増えた気がします。副作用の可能性はありますか?

特に抗うつ薬を導入した初期に、気分が不安定になることがあります。通常は1〜2週間以内に落ち着きますが、家庭や学校でのトラブルが増えるほどの変化なら、遠慮なくご相談ください。

抗精神病薬(リスペリドン/アリピプラゾール)

手の震え・足のこわばりがあります。これは危険ですか?

抗精神病薬のまれな副作用として「錐体外路症状(震え・こわばり)」があります。放置しないほうが良いタイプの副作用ですので、症状に気づいたら早めに受診してください。調整や薬の変更で改善できます。

極端な眠気が続きます。続けていいのでしょうか?

多少の眠気は一般的ですが、「日中ほとんど動けない」「授業に支障がある」レベルなら薬の見直しが必要です。我慢しなくて大丈夫です。

食欲が増えて体重がどんどん増えます。対策はありますか?

適度な運動や食事管理である程度カバーできますが、急激な増加は薬の影響が大きい可能性があります。調整で改善することが多いため、ご相談ください。

抗うつ薬(セルトラリン/フルボキサミン/エスシタロプラム)

薬を始めてからイライラしやすくなりました。危険でしょうか?

導入初期に気分が不安定になることがあります。通常は一時的ですが、怒りっぽさや不安が強まり、生活に支障が出る場合は調整が必要です。

吐き気や頭痛が続いています。どこまで様子を見てもいいですか?

飲み始め数日は出やすい副作用です。軽度なら様子見できますが、日常生活がつらいほど続く場合は薬が合っていない可能性があるため、ご相談ください。

効果が出るまでどれくらいかかりますか?

抗うつ薬は効果が出るまで2〜4週間ほどかかります。すぐに変化がなくても焦らなくて大丈夫です。

抗不安薬(非依存性タイプ/漢方など)

眠気が強く出ます。続けても問題ありませんか?

軽い眠気ならよく起こる範囲です。ただし「日中の活動がこなせない」「学校で寝てしまう」ほどであれば調整が必要です。

効果が弱い気がします。やめたほうがいいでしょうか?

抗不安薬はお子さんによって効き方が異なります。効果が弱いと感じたら、薬を変える・量を調整するなど方法がありますので相談してください。

睡眠薬(ロゼレム/ベルソムラ/メラトニン類似薬)

朝の眠気が強く、起きるのがつらそうです。副作用でしょうか?

メラトニン系では朝の軽い眠気はよくあります。数週間で慣れることが多いですが、連日つらい場合は飲む時間を調整することで改善できます。

逆に眠れなくなったように感じます。やめたほうがいいですか?

お薬が合っていない可能性があります。無理に続けずに相談してください。別の方法に切り替えることも可能です。

どれくらいの期間使い続けても大丈夫ですか?

依存性は少ない薬が中心ですが、必要以上に長く続ける必要はありません。生活リズムが整えば減量・中止もできますので、定期的に相談しながら進めていきます。